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いくつかのKindle本を読んでみて気になったこと

タイトルの通り、Kindle本(出版社によるものも含む)について気になったことを書いてみます。

昨年末にKindle Fire HDを購入したのをきっかけに、これまでにいくつかのKindle本を(無料キャンペーンも含めて)購入し、興味深く拝読しました。
読み終わったものもあれば、読みかけのものもあり、なかには読むに堪えず、すぐさま端末から削除したものもあります。

内容は多くの方が指摘されているとおり玉石混淆ですが、ここではどれが『』でどれが『』だと指摘するつもりはありません。

気になったこと、というのは、主に小説やビジネス書などの、いわゆるリフロー型コンテンツの文章体裁についてです。
※お断り:この記事はKindle Fire HDでの体験を元に書いています。ほかの端末では当てはまらないことがあるかもしれません。ご了承ください。


そもそもKindle Fire HDを購入したのは、KDPで出版するにあたって、端末でどのように表示されるのか実機テストをするためでした。
(Nexus7にしておけばよかったと少し後悔していることは秘密……。)

試作したmobiファイルをKindle Fire HDに転送表示をチェックしてファイルを修正また転送してチェック……ということを延々と繰り返したのですが、なかでも一番理解するのに苦しんだのが、狙ったとおりの文章体裁の整え方でした。

具体的には、セリフなどのカギ括弧の制御というか、行末の強制的な追い出し処理によるリーダビリティ(覚えたて)の低下を防ぐためにはどう指定するべきなのか、ということでした。

言葉で説明してもあまり伝わらないと思うので、下の比較画像を見てください。
Textインデント指定あり・なし比較画像
違いがおわかりいただけるでしょうか。

数行だけ切り取っているのでわかりにくいかもしれません。
この文章の場合、登場しているのは二人。
「方法は―」「皆藤―」のセリフは同じ人物が話しています。

しかし、修正前のほうでは、読み方によっては別の人物が話しているようにも読めてしまいます。
この例では教師と生徒のやりとりなので、あるいは上下関係のニュアンスで理解してもらえるかもしれません。

しかし、話している人物がたとえば生徒どうしだったとしたら。
どちらが話しているか紛らわしくなり、読者がしばらく読み進めたあとで「あれっ?」となる可能性が高くなります。

そのため、修正後のほうでは、「皆藤―」のセリフのみ半角ぶん上にずれることで(天ツキというそうです→参考ページ)、〈このセリフは行末から段落が変わっていませんよ〉ということを伝えています。


紙の本の場合、そうした誤読を防ぐためにこの処理は当然のように施されています。
ところが、Kindle Fire HDやKindle Paperwhiteの場合、段落頭の括弧も、たまたま行頭へきた括弧も、すべて「天ツキ」で表示されてしまいます。
しかもリフロー型のため、どのセリフが追い出し処理されてしまうかは、読む方それぞれの端末の設定によって変動します。

よって、テキストのすべてにおいて、追い出し処理された場合も紛らわしくならないように指定しておく必要があるのです。

しかし

これまでに読んだ電子書籍の全てで、この処理をしているものはありませんでした。
出版社から出ている有名作家のKindle本でさえ
もちろん、全ての本をチェックしているわけではありません。
サンプルを含めても、全部で数十冊程度です。
それに、作者の方の文体によっては、それほど重要ではない場合もあるとは思います。
それでも、一冊もこの処理を施している本が見つからないことはちょっと意外でした。
※おそらく、全ての端末やアプリでの汎用性を優先してのことだと思われます。


今回、『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』を出版するにあたって、この処理は必須だと考えました。
しかし、どう指定するべきか解説しているサイトは見つからず、非常に難儀しました。

そこで、あまり需要はないでしょうが、『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』で採用した指定方法を書いておきます。

といっても、方法はとても簡単です。

すべてのセリフで始まる段落、括弧から始まる段落を、
〈p style="text-indent:0.5em"〉〈/p〉
で囲んでいく。
それだけ。

山括弧の部分は各自で半角の<>に置き換えてください。

この指定でやっていることを簡単に説明しておくと、追い出しされる括弧の制御ではなく、段落頭の括弧を半角ぶん字下げさせることで追い出し括弧との差別化をしています。

標準的なcssを使用していれば、おそらくこれで問題ないと思います。
※あくまで個人の体験談です。効果を保証するものではありません。しっかりバックアップをとって、各自の責任において試してください。

今のところ、この指定を自動でやってくれるEPUB作成ツールはないと思うので、手作業でやっていくしかありません。
(もしご存じであれば、教えていただけると助かります)
正直、めんどくさいです。
しかし、そのぶん作品としての読みやすさは向上するのではないかと思います。

同じ悩みを抱えている方は試してみてください。


※追記:iPhoneのKindleアプリでは、修正前のデータの括弧の表示のされかたが異なる可能性をひまつぶし雑記帖の管理人さんから指摘いただきました(リンク先の画像参照)。
〈p style="text-indent:0.5em"〉〈/p〉で囲った場合にiPhone等でどう見えるか、もう少し調べてみたいと思います。
もしiPhone等での本書の表示のされ方について情報をお持ちの方はお寄せいただけると助かります。
今のところ苦情はきてないんですが……。
KDPの中の人のiOSへの対応作業で最適化されてないかなあ(他力本願)。
一番いいのは、Amazonが端末やアプリごとの表示のされ方を統一してくれることですね。
お願いします、Amazonさん。

こちらも作成。

こちらも作成してみました。
どう運用するかは未定。
タイトルが英語的に正しいかも知りません。
【 東京創元社より発売中 】
書籍情報(出版社HP)
↓ Amazonへのリンク ↓

●紙書籍:799円(税込み) 
●電子版:680円(変動有り) 
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※上下分冊です

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電子版のみ:280円
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